1.喉頭がんとは
喉頭ガンのほとんどは粘膜に発生する扁平上皮ガンで、以前は声門上部に多く見られましたが、最近は声門部のほうが多くなり、欧米の比率に近づいているようです。
声門下部ガンは日本、欧米ともまれにしか見られないようです。全ガンのうち喉頭ガンの占める割合は2%ほどで、圧倒的に男性のほうが多いガンですが、最近では女性にも増えてきています。年齢別では60〜70歳代に多く見られます。
喉頭ガンの発生には、喫煙、飲酒、声の酷使、口腔内の不衛生に起因する慢性炎症や大気汚染などが関係しているといわれています。とくに喫煙は密接に関連しているようで、一日の喫煙本数に年数をかけたブリンクマン指数が高い人ほど発生しやすくなる傾向のようです。実際に喉頭ガンになった人の大半が愛煙家であるという報告もあるようです。また肺ガン、食道ガン、胃ガン、およびほかの頭頸部ガンとの重複した発生も多く見られます。
2.症状
がんの発生部位により最初の症状は異なります。最も多い声門がんでは、ほぼすべての方に嗄声(させい:声がれ)がみられます。この嗄声は雑音の入った、ざらざらした、かたい声です。1ヶ月以上嗄声が持続する場合は、早急に専門医を受診することが大切です。がんが進行すると嗄声はさらにひどくなり、声門が狭くなって息苦しいなどの呼吸困難症状があらわれてきます。同時に痰に血液が混じることもあります。
声門上がんの初発症状は、食物を飲み込んだ時の痛み、いがらっぽさ、異物感などです。また、次第に耳に放散する痛みが出現してきます。がんが進行して声帯に拡がると嗄声が出現し、さらに進行しますと声門がんと同様に呼吸困難などの症状を示します。声門下がんの場合は、進行するまで無症状であるため、発見が遅れがちとなります。
喉頭にがんなどの所見がなく嗄声が持続する場合は、甲状腺、食道の精密検査を行うことが大切です。
声門がんは頸部のリンパ節転移が少ないのに対し、声門上がんではリンパ節転移を多く認めます。まれに頸部リンパ節のはれが初発症状で病院を受診し、声門上にがんが発見されることもあります。これは、声門がんでは自覚症状が早期より出現するため、早期に発見される場合が多いことの他に、喉頭の構造的特徴によると考えられます。
3.診断法
喉頭がんの診断は、耳鼻咽喉科を受診した時に行われる視診と、生検と呼ばれる病変の一部を採取して行われる組織診断により確定されます。視診は、口腔内に喉頭鏡という小さな鏡を入れて、「えーっ」、「いーっ」などの発声をしながら喉頭内を観察し、腫瘍性病変の有無をみますが、咽頭反射が強い(舌をひっぱられるとゲェーッとなる)など所見のとりにくい方には、鼻から細いファイバースコープを挿入して観察します。組織診断は施設により多少方法が異なりますが、咽頭、喉頭を局所麻酔剤で麻酔して咽頭反射を抑制した後、太いファイバースコープを用いて細かな部位まで観察し、次いで鉗子(かんし)により病変の一部を採取します。これを病理医が顕微鏡で見て、がんかどうかの診断を行います。病変の採取は全身麻酔下で行われることもあり、その場合には入院が必要です。組織診断は、通常1週間前後で結果が出ます。
がんの進行範囲を把握するためには、視診による直接的な観察の他に、レントゲン撮影による検査が必要となります。この検査は見えにくい部位、深部への進展の程度を判断する上で非常に有用です。頸部正面、側面撮影の他、頸部の断層撮影、CT、MRIなどの検査を行います。
また、声帯の振動様式により喉頭の病気を診断する喉頭ストロボスコピーと呼ばれる検査を行うこともあります。
4.治療法
初期のガンでは放射線だけの治療でも効果が見られる。
一部分に限られて発生している場合は、部分切除により声帯を残すことができる。
進行したガンでは喉頭を全摘出する手術を行う。
化学療法や、免疫療法も行われる。 |